リフォーム・リノベーションで間取り変更や窓の新設ができる家、できない家
間取り変更と窓の新設の実状
図面や設計図が残っていないお住まいでも、間取り変更や窓の新設、移動が可能です
問題は、梁で2階や屋根が支えられるかはもちろんの事、あなたのお住まいがリフォームで耐震上問題ないかどうか
この条件さえクリアすれば、不要な柱や壁の撤去や移動、暗い部分に窓を造って部屋を明るくし、季節の良い時は風を通すことができます
しかし、耐震設計せずに間取り変更や窓の新設をして、その家の耐震強度が低下する可能性が高いにもかかわらず、簡単に間取り変更と窓の新設を行う業者も多いです
それは、リフォームは新築と異なり検査がないことが原因です
地震等で建物が揺れていない平時に建物が倒れないようにするための強化方法と、地震時に倒壊しないようするための強化方法が異なることを理解していないか、知っているが考えずに行われていることが多いようです
ちょっとしたキッチンリフォームでの壁や柱の撤去や小さい窓の新設も、耐震上問題ないかの調査が必要不可欠であるということです
木造住宅の耐震強度とは
普段の建物の形が変わらないようにするには柱や梁が重要ですが、地震時に倒壊しないようにするためには、窓やドアなどの開口部が無い壁が重要です
下記のようなリフォームは壁が減少するリフォームの一例です
- 出入口ドアの移設や別の場所に新たに造作
- 引違いの2枚引戸部分を3枚の引戸に替える
- キッチンの横にある壁を取って解放感を得る
- 片開き玄関ドアを2枚引き戸に替える
- 食事室と和室の間の壁を取っ払って大きなリビングを造る
- お風呂のドアを引戸にする
柱だけ残して壁を取っ払う間取り変更も、普段の建物の形は保てますが、地震に対して弱くなっている場合があります
キッチンのリフォームで壁を一つ無くす、小さい窓を一つ造るにも、地震の時に頑張ってくれる壁が一つなくなるということです
リフォーム、リノベーションでお客様のご希望を聞くと
- 隣の和室を続き部屋にしてリビングを広くしてほしい
- 柱を抜いて空間を広くしてほしい
- 壁に窓を造ってほしい
- キッチンを移動して対面にしてほしい
- お風呂と洗面脱衣室を広げてほしい
などのご希望がたくさん出てきます
しかし、リフォームですので制限があります
リフォームは新築と異なり、制限がある中で設計者が考えて工夫して間取り変更を行わなければなりません
間取りや窓の変更で注意しなければならないのは耐震性です
壁による耐震性への影響
ここでクイズです
同じ大きさの建物が4つあります
揺らさなければ、バランスよく自立しています
これらを、上から荷重をかけて前後左右に揺らした時に強い順に並べてください
※線は柱・梁・土台で、青い部分は壁です
A→柱、梁、土台のみ
B→1面のみ壁があり、壁面積は1とします
C→向かい合う壁両端に2箇所、合計4箇所に壁があり面積は合計1でBと同じです
D→Cにプラスして残りの2面はすべて壁になり、壁面積は3です
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答:D>C>B>A
Aはどの方向から揺らしてもすぐに壊れます
Bは壁のある面と平行方向の揺れに対しては少し頑張ります
CはBよりバランスよく強化しているので壁と平行方向の揺れに対しては頑張れますが、壁と直角の方向は弱く倒壊します
Dはどの方向からの揺れに対しても強化されているので一番倒れにくいです
- 壁がないよりある方が強い
- 壁が同じ面積でも一方向よりバランスよく配置される方が強い
という結果です
お住まいの耐震補強とは、これと同じ考え方です
地震時に頑張る重要な壁(耐力壁)を取ってしまう、または一か所取ったから安易に別の場所に壁を造っても、バランスが崩れる場合があると言えます
耐震のポイント
耐震強度は壁の数とバランスある配置も大きな要素です
取っていい壁と、取ってはいけない壁があります
取るなら耐震設計をして、別のところに取った壁の強度を補う壁の新設や補強が必要です
建物全体で壁の数(強度)を減らしてはいけません
そして窓のある壁は、強度がほとんどありません
窓を設置した壁は強度が落ちて潰れやすいです
地震が起こらない中、梁が上の重量を支えてくれるので柱を抜いても大丈夫という考えで柱を抜いて壁を取り除き、ひと続きの空間にする人もいます
お風呂を拡張するために壁を壊すにあたり、一部の基礎は不要なので撤去してしまう
新しく造った部屋を明るくするために窓を新たに造る
これらのリフォームは、耐震強度を考えてから柱や壁や基礎を減らして良いのか検討しましょう
耐震性を知る方法は単純!
地震に対して頑張る壁、耐震壁が明示された図面を用意します
図面がない場合は耐震診断をして、実現できる間取りに変更しましょう
そして耐震補強設計をします
費用面を押さえるには現在の間取りを活かし、なるべく変えないで希望を実現することです
担当者に耐震について聞いてみよう
- 私の家の耐震強度は概算で強いのか弱いのか
- その理由は?
このような質問で、あなたが耐震について安心してリフォームしたいと考えていると理解してくれた業者は、耐震診断を行ったり、すでにある耐震強度が乗っている図面で判断します
中古住宅を購入してリフォームを考える時も、耐震性について同時に検討することが大切です
何故なら、2024年現在でも全国の約半分の戸建住宅が耐震補強が必要な住宅というデータがあり、その中には売られている中古住宅も含まれるからです
大規模なリフォームや間取り変更、窓の新設を行うなら、耐震強度の説明を聞いて理解し、検査がないのでご自身の判断で依頼しましょう
間取り変更や窓新設はリフォームを行ってくれる設計事務所に依頼するのも良い手段です
大工や工務店に依頼する場合は、耐震設計と耐震診断をしてもらってリフォームを行いましょう