瓦が割れてしまった!葺き替え以外の方法はある?
大阪狭山市のお得意様から、「離れ2棟の屋根瓦が割れたり割れかけたりしているため、シートを掛けてほしい」というご依頼がありました。どのくらいの期間シートを掛けておく予定かお聞きしたところ、「1年かもしれないし5年かもしれない」とのこと。
今回のお客様の屋根をどのように修理したのか。一般的な瓦の修理法2つと、弊社で行なった4つの工程をご紹介します。
瓦をすべて葺き替えるか、解体するか
割れている瓦の数が少ない場合、割れた瓦だけを差し替えれば良いのですが、今回のお客様の屋根の場合、割れてしまった瓦の数がとても多く、すべてを葺(ふ)き替えた方がよい状態でした。ただし、この先あと何年住むのかわからないし、相続する人もいないといいます。
葺き替え以外の方法だと解体となりますが、解体費用は年々高騰し続けているのが現状です。解体した材料ごとに仕分ける作業も必要なため、それなりの費用がかかってしまうのです。
さらに、解体する前にアスベスト含有調査というものがあり、アスベストが含有されているとなれば、除去をしてからの解体作業となるためその分費用も嵩みます。 そのほかにも、該当の離れ2棟が塀代わりにもなっているため、解体後に新しい塀を造る必要があること、お客様のご両親が生前過ごした思い出深い家なので、出来れば壊したくないという思いがあるなど、解体という選択は難しいように感じました。
瓦の応急補修とその工程
すべての屋根を葺き替えるのも、家屋を解体するのも、どちらも100万円単位の工事です。もしかしたら明日には引っ越しを考えているかもしれないし、反対に、この先5年くらいは住み続ける家かもしれない。
このような難しいケースは初めてでしたが、今までの自分の経験や習得してきたものを掛け合わせ、「応急補修+継続メンテナンス」という形を取りました。
所要日数は約3日。修理・修繕・メンテナンスといったアフターサービス的な仕事は、当然ながら会社にほとんど儲けは残りませんが、お得意様だからできる仕事でした。
『応急補修+継続メンテナンス』の内容
1. 瓦の除去、清掃
作業の前に瓦を除去し、綺麗に掃除をします。
2. 釉薬がはがれているところに瓦補修材を塗布する
瓦の表面は釉薬がはがれると、特に冬場に『凍て割れ(いてわれ)』という現象が起こるため、瓦内部に染みこんだ水分が凍結して瓦が割れてしまうのを防ぐために行います。
透明なコーティングのような材料で瓦専門の塗料会社が作った補修材を使用しました。
3. 大きく割れている部分はコーキングを塗り込んで固める
大きく割れて破片が残っている箇所や、触らない方がよさそうな部分には、上からコーキングを塗って一塊にしました。
4. 大破部分に鋼板を差し込む
このような鋼板を差し込んだ理由は、大破している瓦の大部分が通りの裏側に面していたため、あまり人目に付かない場所で あったこと。さらに、瓦をコーキングでずれないようにしているために差し替えが困難という理由からも、薄くて耐久性のあるガルバリウム鋼板を選びました。こうすることで、他の瓦がずれて雨漏れするリスクや、差し替え時に周りの古い瓦が割れてしまうリスクも避けることができます。
今回は以上の3つの補修方法を複合的に実施しました。一般的な修理法ではないので今後も定期的な点検とメンテナンスは必要となりますが、瓦のすべてを葺き替えたり、家屋を解体するよりも、一時的な出費は 大きく押さえることができたと思います。