外壁塗装してはいけない場所がある?
家の外観をよくするための外壁のリフォームですが、実は外壁には塗装していい場所と、塗装してはいけない場所があることをご存知でしょうか。
今回は実際の例を使って、外壁塗装する際の注意点をご説明します。外壁リフォームをする前のご参考にしてみてください。
木の外壁に塗装をしてしまったケース
こちらのお客様のご自宅の外装は、木部がむき出しになったお住い。本来ならば塗ってはならない木の外壁に塗装がされていたために、木が腐り始めてしまっていました。
一昔前は、外壁塗装を工務店に依頼するのが一般的でしたが、20年ほど前より、塗装業者やリフォーム店がお客様と直接ご契約をして、塗装をするようになりました。
塗装業者は当然ながら塗装することができますし、リフォーム店の営業担当も、塗装屋さんとつながりがあるので、彼らが塗装業者にお願いして塗装することはできます。
ただし、お客様が「塗ってほしい」と言われた箇所はすべて塗ってしまうため、今回のようなケースが生まれてしまうことがあるのです。
今回のお住いの軒先の木の部分も、以前の塗装メンテナンスですべて塗装された状態でした。
当然ですが、塗装をすれば、塗りたての頃は非常に美しく見えます。
しかし木は、湿気の多い時には水分を吸い、湿気が少ない時には水分を出す、という呼吸のような特性を持っており、さらに、表面が微妙に”動く”とも言われています。
木が動くことでヒビが入り、そこから雨水が侵入します。雨水が入ると、今度は外に出そうとしますから、内側から塗膜を押します。その力で、押された塗膜が破れてしまうのです。
塗装から1年ほどで、塗膜がめくれてきます。そして5年も経つと、塗膜がめくれた箇所が増え、その部分が目立つようになります。
これを避けるために、オイルステインやキシラデコールといった商品を使って木を染色する方法もありますが、これも5年くらい経つと色あせてきます。
したがって、露出した木の部分は、私は塗らない方がいいと思っております。
例えば、神社仏閣の白いしっくい壁に露出している木の柱や軒や、漁師町にあるような木のよろいの外壁、大きな住宅の木の門扉などは、塗装されているのをあまり見かけないのではないでしょうか。
黒ずんでいたとしても、それなりに味があり、メンテナンスをすることなく長持ちしているのです。
ウッドデッキや縁側の縁台も同様、塗装しない方が、メンテナンスも不要で長持ちします。一度塗装をしてしまうと、早ければ1年で塗り直しが必要になります。
モルタルで塗られた外壁に塗装したケース
外壁塗装のメンテナンスは、理想は10年に一度、長くても15年に一度は行うのがいいでしょう。
外壁材の種類にもいろいろありますが、モルタル(セメント+砂)で塗られた外壁に塗装をした場合、壁にクラック(ひび割れ)が頻繁に生じてしまいます。
また、10数年前から流通している超高耐久の高額塗料で、メンテナンスが20年以上不要というものがあるのですが、メンテナンスが長年不要だと思うと、経済的に見えるかもしれません。
しかし、現在の新築の主流であるサイディングやALCの外壁には必ず目地がありますので、このような目地やひび割れのメンテナンスが長年おろそかになることで、かえって建物の耐久性が落ちてしまうことがあるのです。
屋根や雨樋の外壁塗装
屋根や雨樋(あまどい)も塗装しますが、寿命がきている瓦や雨樋を上から塗装してしまっているケースがあり、塗装してすぐに、屋根から雨漏りがしたり、樋(とい)が風で飛ばされたという、笑えない話も時々耳にします。
正しい専門家に依頼することの大切さ
長年現場で実際の様子を見ておりますが、間違った外壁塗装をしている業者が後を絶たない、というよりも、むしろ増えているように感じるのです。
外壁塗装のトラブルを避けるために、外壁塗装を依頼する際には、塗装のことだけではなく、建物全体のことを総合的に判断できる親方や工務店、建築会社、設計士などに相談されることをおすすめします。