屋根、外壁、防水のメンテナンス不良は耐震強度にも影響します
住宅のメンテナンス不良は耐震強度にも影響します
- 雨漏れしていないから大丈夫と思っていた
- なんとなく先延ばしになってしまっていた
- メンテナンスの周期を知らなかった
など、原因は様々ですが
お住まいの外部のメンテナンス時期を大幅に過ぎている現場を調査をすると
- 外壁のひび割れが多い
- 大きいひび割れがある、欠けている、脱落している
- 外壁が平らでなく膨らんでいるところがある
- ベランダ下の軒の天井に雨染みがある、膨らんでいる部分もある、脱落してる
- ベランダの壁がひび割れている、膨らんでいる
- ベランダの床が柔らかい部分がある
- 屋根の傾斜が一定でなく波打っている部分がある
- 瓦の隙間が広いところがある
- 棟の部材、端の部材が取れている
- しっくいという白セメントが脱落している
- 瓦がずれている
このような不具合が起こっています
通常のメンテナンスは外壁塗装や防水を行います
損傷した外壁や屋根瓦の上に重ね被せるカバー工法というものもあり、安く済ませる方法はあります
これは、表面の材料は傷んでいるが、下地は健全な状態であるというのが条件です
メンテナンス時期を大幅に過ぎていると、内部の木部下地や建物の骨組みが腐朽している可能性が高いです
それは、壁内の雨漏れ、屋根裏内の雨漏れ、ひさし内の雨漏れが起こっているということです
雨漏れは、室内に目に見えて漏れているものだけではないです
室内に漏れてこない方が、長い期間雨漏れに気づかない方が腐朽を進行させます
このような腐朽した状態のまま下地の状況は目をつぶって、軽く補修をするだけで通常メンテナンス行うと、後日に下記のような問題が起こります
①そのお住まいが持っている本来の地震に対する強度が失われている
②塗装の通常耐久性の期間より大幅に短い間にひび割れが起こる
③雨漏れが起こる
④暴風で瓦や棟、その他屋根部材が下地ごと剥がれる
この4つの問題を解説します
①お住まいが持っている本来の地震に対する強度が失われている
建物は、柱と梁と土台があれば自立した状態が保てます
柱や梁、土台が雨漏れ等で腐朽すると建物が傾きだします
地震時は、健全な柱・梁・土台に壁材が付けられて建物の強度を保っておりますが、壁がない裸の状態の建物は地震では一瞬で倒壊してしまいます
新築時の検査や耐震診断の検査では壁の量をどれだけあるか見て強度計算を行います
壁が一つ損傷して傷んでいると本来の力を発揮できないので地震に対して弱くなっているということです
したがって、壁の材料が雨漏れで腐朽していると地震時の弱点になりやすいので、耐震診断でも減点の対象になります
地震に耐えるには、健全な壁が重要ということです
②塗装の通常耐久の期間より大幅に短い間にひび割れが起こる
建物は、地震や風、道路に車が通ったときも少しは揺れています
また、直射日光や気温の寒暖差で小さな伸縮を繰り返します
下地が健全な状態でないと、きっちり下地が固定されていない状態なため、揺れが大きくなり、伸縮しやすくなります
したがって、傷んでいる下地を直さずにひび割れだけ補修しても、ひび割れは開きやすい状態になっています
そこから再び雨水が侵入して、下地の腐朽が進んでいきます
③雨漏れが起こる
屋根に関しては、下地が均一な状態でないと瓦と瓦の隙間が大きい部分が出来て、防風時に隙間から雨水が逆流して侵入しやすくなります
防水層は下地が適切でないと壁と同様下地が動きやすいので、防水層が切れてしまったり、下地からの水分で防水層が浮いてくることもあります
防水層が切れると雨漏れが起こります
④暴風で瓦や棟、その他屋根部材が下地ごと剥がれる
下地の板は適切な釘で適切な長さと間隔で取付けされていれば、台風でも飛ばないように設計されています
しかし、下地が損傷していると、きっちり止まってる釘やビスの数が減少し、刺さる深さも足りなくなり健全に止まっていないこともあります
③の状況の瓦と瓦の隙間からの雨漏れが続くとさらに弱い部分ができ、この部分が下地ごとずれたり、暴風で脱落してしまうこともあります
定期的に住宅メンテナンスを行いましょう
メンテナンス時期の目安は10年です
最適な期間を大幅に過ぎてからメンテナンスを行うと、ひび割れや浮き、瓦のズレやしっくいの脱落などが見つかることがあります
損傷が激しい場合は、下地からの補修を詳細に点検してやり直さなければ、①~④のようなことが起こる可能性があります
したがって、損傷が激しい場合は、塗装や瓦のカバー工法だけでは修復できなくなります
その場合、一時的に費用がかかりますが、しっかり下地から作り直すことを覚悟して工事を行う方が、この先20年30年とお住まいに住み続ける場合のメンテナンス費用を抑えられ、災害に対しても安心して生活することができると言えます
大切な住宅が損傷する前に、定期的なメンテナンスを行うことを意識しましょう