部分リフォームには注意してください
1.機器だけの交換は損をする場合が多い
お客様のリフォームのニーズで圧倒的に多いのがキッチン、浴室、トイレ、洗面台などの水回りや部分的なリフォームです。
しかし、これらのリフォーム工事では業者が得をする、長期的に見てお客様が損をする工事がたくさん行われていることはご存知でしょうか?
木造住宅は、大きな骨組みがあって、そこに小さな骨組みが組み付けられて、そこに下地材を取り付けて、その上に仕上げ材や住宅設備機器などが取り付けられています。
リフォームのきっかけは、この最後に取り付けられる水回りの設備機器やフローリングや壁紙などの老朽化により業者に依頼することが多いのです。
しかし、これらのキッチンなどの機器やフローリングなどの仕上げ材だけが老朽化しているのでしょうか?
そうなのです。
同様に下地材、小さな骨組み、場合により大きな骨組みまでも老朽化していることがあります。
キッチンやフローリングなどの老朽化は下地や骨組みの老朽化のサインともいえます。
これだけではありません。
住宅建築の最低基準を定める建築基準法は立法されてから、大幅な改正が1981年と2000年に2回ありました。
これらはすべて大きな地震の数年後に行われています。
だから、2000年以降に建てられたお住まいは阪神大震災クラスの地震でも簡単には倒壊しません。しかし、それ以前の建築基準法に沿って建築された建物でもすべてではないですが、倒壊する可能性があります。
これらのことから、キッチンやフローリングなどの設備や仕上げ材をめくるときに下地の修繕や補強をした方がいいとは思いませんか?
2.部分リフォームは業者が得をする
なぜ、このような大切なことを無視してほとんどのリフォームが行われているのでしょうか?
- 一般の方は老朽化の補修、耐震補強が必要であるかどうががわからないため要望としてあがってこない
- リフォームには基本的に検査がないので、仕上がりさえ良ければお客様は了承し引き渡されるため
- 補修や補強の要望が少ないため、業者が下地や耐震強度の良し悪しの判断せずにリフォームの積算見積りを行っているため
- お客様にとっては補修や補強がなければ少しでも安くなる
- 業者も手間が省けて少しでも早く完了できる
このような市場なので建物の知識が少なくてもキッチンやお風呂のリフォームがどんどん行われて、業者もちまちま補修をするよりも数をたくさん売った方が売り上げのアップするのでお客様のニーズと供給があまり好ましくない状況で合致してしまっているのが実情です。
3.営業マンは家の構造や内部までわからない
建築士免許や施工管理士の免許は建築業界では大切な資格ですが、何よりも大切なのは、現場を調査し、計画し、職人とやり取りしたり、時には自分でやってみたりと沢山の失敗と損出をだして、そしてお客様に文句を言われ、どうすればそのようにならないのかを考え、時には机の上でも勉強し、そして完成させてはじめてリフォームの現場のことが分かってきます。
資格を取るときに勉強した内容には、残念ながら住宅のリフォームの大切な知識はほとんどありません。
営業だけに力を入れている会社だと満足のいく結果にならない事もあるようです。
4.利益重視の会社は営業マンが自分の成績のためにリフォームする
リフォームの売り上げ重視の会社では、営業マンは売れれば天国、売らなければ地獄という会社が多いのです。
だから、営業マンはクレームが出ずに売れればすべてOK となります。
これを最低限の見方をすれば
- 壁の中など見えない部分はクレームにならないのでかかわらない
- 調査や、細かい作業を伴う追加工事などはなるべく請けない
- 何とか5年以上持ってくれればクレームにはならない
- 強度や耐久性は自分もわからないお客さんもわからないのでかかわらない
- 解体したときについでに行うと安く工事できる補修や
補強はお客さんもわからなのでかかわらない - 工事したときに見えたお住まいの不具合や不良部分、補強した方がいい部分も
今回の工事とは関係ない部分ならクレームにならないし、時間がかかるだけなのでかかわらない
ということになります。
とにかく短期で設備機器を取り付け完了する。
これが重要ということになります。
確かに短期で仕上げることは大切ですが、お客様の利益はどうしても2番、3番になってしまいます。
住宅は電気製品と異なり、普通は5年、10年で買い替えたりはしないと思いますので
十分な打ち合わせをしないと本当に良かったリフォームにならないと思います。
5.現場を知り尽くしている人に現場調査、積算見積もりをしてもらう
では、どうすればいいのでしょうか?
- 現場を知っている物に見積もりしてもらうこと
- 点検、可能なら診断まできっちりしたうえで見積もりを出してもらう事
- ついでにできる補強工事、補修工事は予算が許すならやっておくこと
リフォームするお住まいは大体2000年以前に建築された建物なので、今の基準より低い基準で建築されております。
だから、最低限リフォームをご希望の箇所にかかわる部分の補強や補修は必要だと思うので、それらを判断できる人に見ていただき、お客様のご予算とご相談して工事内容を決める方が長期的に見て割安なリフォームだと思います。