良い中古住宅、悪い中古住宅の見極め方
中古住宅を購入する際、たくさんの物件があるので、内装、外装、立地、築年数など、何を基準にして購入するか悩むと思います
表面上は綺麗でも、中の構造が不十分だったり劣化があったり、どこまでリフォームしていくのかの判断が素人では難しいです
中古住宅を契約する前に不動産屋さんに許可を得て、リフォーム業者に物件を見てもらって、見積もりをしてもらうことは普通に行われております
契約後に「リフォーム費用が予算オーバー!」ってことにならないように契約前にリフォームのお見積りをすることをお勧めします
リフォーム業者、プロに見積りをしてもらうと、どの箇所のリフォームが必要なのか、中古住宅の劣化状況はどうなのかある程度わかり、予算組もしやすくなります
では、中古物件の見極めは基本的にどうすれば良いか、ご紹介します
目次
中古住宅は耐震補強が必要な住宅も流通しています
新築を立てる上での耐震強度の基準が年代ごとに変わっています
1981年(昭和56年)6月と2000年(平成12年)6月に法改正があり、どの時期に建築された建物かで耐震性を知る一つの目安になります
基本的に何が違うのかというと、必要な壁の量が違います
2000年6月以降は、必要な耐震金物、基礎の鉄筋、地盤調査、壁の位置やバランスなどに厳しい規定ができました
耐震強度が安心なのは2000年以降に建てた建物
一戸建て住宅も建築された時代の建築基準法のに沿って建築されてお客様に引き渡されます
2000年6月以降の建築基準法で建築された建物は耐震倍率1.0倍「一応倒壊しない」という基準で建てられております
1981年以前の建物を耐震診断すると、95%以上は一応倒壊しないという基準以下でした
また、1981年から2000年の間の建物に関しても、2000年6月の基準を満たしていない物件もたくさんあります
素人でも判断できる簡易的な耐震診断
本当の耐震強度は建築士に調査してもらわなければわからないですが、弱い可能性があるということはわかります
まずは建築年代が重要
前述の建築年月を確認してください
どの時期の建築基準で建てられたかで建築士の耐震診断が必要かどうかが分かります
建物の重量
建物が重いか軽いかが目安になります
重い建物は、和風の瓦で、外壁が土やセメントやタイルで造られているものです
昔ながらの家は、この構造のものが多いです
建物が重いと、地震の振動で崩れやすいので注意が必要です
家の形状
家の形状ですが、長細い家ではなく、正方形に近い家が耐震強度があると言えます
吹き抜けの有無
大きい吹き抜け、2階の床が無い部分が大きいと、弱点となるので補強が必要になります
大きい、たくさんの窓や引戸
他に、昔の縁側にあるような、窓が4枚の引き戸、2間サッシなど大きな開口窓には要注意です
現在の建物は大きな開口窓もしっかりと耐震補強しています
阪神大震災で、この大きな開口部の箇所から壊れていることが多数ありました
壁や基礎のひび割れ、傾き、雨漏れ跡などその他劣化状況
そのほか、見た目で壁基礎のひび割れ、傾き、雨漏れ跡などがあると骨組み部分が劣化している可能性があります
しかし、問題ないひび割れ等もありますので、一応チェックです!
もう少し詳細を知りたい方は、日本建築防災協会のサイトで「誰でもできるわが家の耐震診断」というリーフレットがあります
市町村の建築防災課等でも配布しております
「誰でもできるわが家の耐震診断」日本建築防災協会HPはこちら
断熱性能も知っておこう!
耐震強度と同じように、年代ごとに推奨される断熱性能が変化しています
現在は断熱性能1から7までの等級があります
高断熱のお住まいと、低断熱のお住まいに生活している人の光熱費の差が100万円以上変わるという現実をご存知の方は少ないようです
月間平均8,500円の差があれば、年間102,000円、10年間で1,020,000円ということになります
さらに冬場足元が暖かいお住まいと、足元が寒く顔だけ暖かい、熱帯夜のエアコンの効きが快適など、快適さも大きく異なります
断熱性の等級は耐震強度と異なり、法的基準はあくまで推奨なので、基準を満たしてなくてもお客様に引き渡し可能です
目視で断熱性能があるかどうかの大きな目安としては、サッシの窓ガラスが2枚、いわゆる複層ガラスか、樹脂サッシであるかを確認することです
もう一つの目安として、窓まわりのクロスのめくれ、窓枠シートのめくれ、カビがあると、冬場かなり結露する箇所であるとわかります
インスペクション(建物調査)を行う
2018年4月より、宅建業者、いわゆる不動産屋で中古住宅を売買する時に、建築士による建物調査をすることが可能だということを説明する義務が発生しました
あくまで目視ですが、例えば、建物が傾いているか、基礎にひび割れがあるか、簡単ではありますが、プロの建築士の調査なので目安にはなります
また、住宅の補修が必要な部分もわかります
インスペクションだけでは建物調査は不十分
先ほどのインスペクションは、耐震の骨組みの劣化事象や雨漏れを必要最低限検査するもので、耐震や断熱性能を保証するものではないです
設計士やリフォームの業者、工務店に見積りや調査をしてもらい、耐震強度や、直す方が良い箇所などを知ることができます
先にインスペクションをしたのであれば、インスペクションの情報を業者に提供するとさらに解説をしてくれると思います
そうすることによって、住宅のある程度の性能や、リフォームの見積もりと修繕の見積りの金額を知ることができます
修繕に費用を掛けられる範囲かどうか
インスペクションやリフォーム見積もりの結果、工事で直せる範囲かどうか知る必要があります
直らないものとは、直そうと思えば相当な金額がかかる物件も含みます
また、修繕に相当な金額が必要になる箇所もいくつかある場合もあります
内装を綺麗にする事にお金を使いたい方が多いと思うので、修繕に非常にお金がかるなら、その物件を選ぶのは考え直した方が良いでしょう
リフォームの見積り結果に関しては、業者の知識や技術、経験でかなり差が出てきます
業者選びや、見積もりの内容や金額も見極めが必要になります
致命傷の基礎の沈下や大きなクラック
基礎沈下、基礎の大きなクラックは多額の費用が掛かります
地盤に関連することは直らない可能性もあります
建物の傾き
建物の傾きが許容範囲かどうかも、修繕できるかの判断材料です
例えば、床の傾きだけを単純に見るのではなく、柱の傾きを見ることが大切です
和室で露出されてる柱が、どれくらい傾いているかたくさん見ることによって、その建物がどれくらい傾いているかよくわかります
リフォームにお金がかかる家、かからない家
住む前のリフォームにお金がかかる家かどうかの判断基準を見ていきましょう
外壁
セメントの外壁で大きなクラックがあれば、もしかすると外壁をめくって補修をしなければならないかもしれません
あるいは、コンクリートのモルタルの下地まで剥がして補修しなければならないかもしれません
他に、外壁が完全に膨れ上がって、下地が駄目になっているケースがあります
屋根瓦
昔の家屋にある和風の瓦は、かなり撤去処分費がかかります
簡単な形状ではなく、昔のしころ屋根という純和風の建築のような旧家のような屋根の形状です
ビル屋上のような陸屋根、上で遠くの景色を眺めたり、BBQなど利用方法はありますが、陸屋根は定期的に防水工事をしなければなりません
防水工事は屋根瓦と違い、メンテナンスの時期が早いです
したがって、陸屋根に普通の斜めの屋根を付けてくださいというリフォーム依頼も良くあります
タイルのお風呂、トイレ
昔の在来工法、ユニットバスでないお風呂は、解体と処分の費用がかかります
そして、タイルのお風呂は周りの土台の木部が悪くなっていることが多いので、床や壁がタイルのお風呂、トイレはリフォームにお金がかかります
先程の外壁や屋根と比べると金額は少ないですが、順番から言って、この水回りのリフォームを行う場合、お金がかかる家だと言えます
ユニットバス、壁紙、塩化ビニールシートのクッションフロアの家だと、そこまでお金は掛かりません
和室が多い
現在、新築で和室を造らない家が増えています
和室は利用しにくいということで、洋室にリフォームする際にお金がかかりやすいです
間取りの変更
間取りを変更しなければ生活導線が上手くいかず住みにくい場合です
間取り変更には、柱や壁の移動が必要です
そうすると耐震強度が変わり、耐震補強しなければならないです
したがって、間取り変更をしなければならない物件は、良い物件でもお金がかかると思ってください
階段の移動
階段の移動もお金がかかります
移動しなければ住みにくい家は、それなりの見積りを取って決めていただくと良いです
庭のリフォーム
お庭のリフォームでよくある、駐車場をもう1台分造るリフォームです
お金が掛かるかどうか条件によって大きな差があり、意外と後で驚かれることが多い工事です
したがって、庭のリフォームも概算でいいので見積りすると、予算組の計画を立てやすいです
入居後のメンテナンス費が高額か通常か?
住宅のメンテナンスは、長く住む上で必要な出費です
この費用が通常より高額なお住まいがありますので、どうしてもその部分が必要な場合はいいのですが、事前にメンテナンス費用も知っておくと後悔しなくてすみます
防水工事が必要な面積が広い
先ほどの項目にありましたが、陸屋根、屋上がある家、これは防水に非常にお金がかかります
よく似たもので、大きなベランダ、例えば家まわりに3方向につながったベランダがあると、防水工事にお金がかかります
和風の瓦屋根は延命するにはメンテナンスが必要
土の乗った瓦屋根の家は、5年に1度メンテナンスを行うことが理想で、ズレであるとか、漆喰という白セメントの割れているところを点検して補修していきます
そうすることによって長持ちしますが、メンテナンスの頻度が多く、非常に費用がかかります
また、その他の瓦の寿命は約30~40年です
メンテナンスの有無で寿命が異なります
その他の屋根瓦
その他のカラーベストや金属屋根、セメント系瓦は、大体耐久性は30年から40年ほどで、皆さん葺き替え時期がきます
しかし、焼き物瓦に比較して葺き替え費用は半分ぐらいになる場合もありますので、メンテナンス費用は低いお住まいと言えます
しかし、面積や形状により異なりますので注意が必要です
でも外壁塗装を10年、20年と定期的に行って、同時に屋根の塗装メンテナンスを行っていると、耐久年度が伸びますので、メンテナンスの状況によります
必要メンテナンス費として、焼き物の瓦以外は屋根の塗装メンテナンスは必要で、35年前後で葺き替え時期が来ることを念頭に置いてください
建築されてから25年以上経過している中古住宅を購入する場合は、同時に瓦葺き替え費用も見積もりしておくと、資金の準備ができると思います
外壁
外壁は、簡単な仕分けでいうと、セメントで作られた塗装されたような家と、サイディングがあります
サイディングの家は外壁材の継ぎ目にコーキングがあります
先にコーキングが悪くなるので、縮んで隙間が空く、コーキングがとれる、これがメンテナンス時期の目安です
コーキングが外れたり割れたりすることは、外壁のひび割れと同じことなので、水分が中に入りやすくなります
早い場合は10年でコーキングの打ち替え、足場が必要なので同時に塗装という形になります
塗装の家も15年くらいでメンテナンスが必要なので、どちらが良いとは言えないのですが、サイディングの場合は必ずコーキングのメンテナンスが必要で、時期サイクルが早い場合が多いです
次に売ることを考える
将来、購入した住宅を手放すことがあるかもしれません
その際に少しでも高く売れそうな土地を探しましょう
間口が広い
道路に接している面積が多く間口が広い方が人気がある土地で、売りやすいです
前面道路が広い
前面道路が広いと、建て替えするときにセットバックの必要がないです
4m以上あることが理想です
4m以下だとセットバックが必要になり、敷地が狭くなります
駐車スペース
駐車場スペースがある家、できれば2台分あると良いです
多くの方が車を持っているので、駐車スペースがない家は売りにくく、売れないケースもあります
地域性
住宅を購入するのは若者世代が圧倒的に多いです
子育て世代は校区、治安などを考慮に入れ、住宅購入前にネットで地域性などの情報を調べましょう
実際に、地域性の良い所は空きができるとすぐに売れていきます
逆にそうでない所は長く売れ残り、2割ほど安く売りに出されてしまうこともあります
中古住宅の良し悪しを見極めて、住みやすい住宅を購入しましょう
良い中古住宅を購入するためには、外見が良くても内部構造に問題がある場合があるので、住宅の状態を確認するためにも、インスペクションを活用しましょう
また、中古住宅購入前に設計士や業者にリフォームの見積りを依頼することで、ある程度の住宅の耐震強度や断熱性能、リフォーム金額の概算を知ることができます
修繕やメンテナンスの費用も考慮し、長期的な維持管理が可能な物件、将来的な転売も見据えて選ぶことも大切です
最終的には、これらのポイントを総合的に判断し、自分のライフスタイルや予算に合った最適な中古住宅か慎重に見極め、満足度の高い住まいを手に入れましょう